先月、「おんな城主直虎」が終わりました。当初はあまり期待していなかったものの、回を追うごとにグイグイ引き込まれ、ついには週に3回も同じ回を見るほどハマりました。もう2018年もとっくに始まっていますが、せっかくなので感想をまとめておきたいと思います。
とにかく森下脚本が見事でした。担当した森下さんは、理系なのかな?と思うほど設計がしっかりしていて。史実が極めて少ない人物だからこそかけたことがあったのだと思います。
大河ドラマ「おんな城主 直虎」最終回直前、脚本家・森下佳子インタビュー
https://news.ponycanyon.co.jp/2017/12/22724
こちらの記事にもありますが「方程式を解くことにちょっと似ているかなと思いました。」のフレーズに強烈に納得感が。
脚本が緻密で伏線回収しまくり
上述した通り、とにかく今回の大河は脚本が見事でした。
大方が創作のストーリーではあったものの、要所要所はきちんと史実を盛り込んでいるし、登場人物のセリフでそれを説明する場面もあり、歴史ファンとしても納得できる進行でありました。
特に万千代(直政)と井伊谷の関係を示すものとして
・木材の調達
・碁が打てる
・流れるような文字
・洪水の件
・薬の件(龍潭寺から徳川家へ寄進)
このあたりのエピソードは、両者の深いつながりを感じさせるエピソードでした。
最初に50話分の台割をして、大まかにシーンを分け、Aの場面で起こったできごとをxx話あとで回収と組み立てていく・・・。あくまでも私の想像ですが、脚本作りって考えただけでもゾクゾクしますね。
万千代(直政)が徳川に正式に仕えるようになり、話の中心がそちらに移行していっても、井伊谷がその中にきちんと組み込まれていて。亡くなった人物を含め、井伊谷で起こったできごとのすべてが、万千代の中にギュッと詰まっている。それは、まるで「通しで見た人」への「ご褒美」のようでもありました。
重々しくもコミカルに、そしてハートフルに
ともすれば暗い雰囲気になりがちな今回のテーマですが、ところどころにコミカルな演出が登場し、深刻な中にも希望が持てる作りになっていました。特に、私はノブが万千代に殴られるところなんか・・あまりの「間」の良さに爆笑したり。(爆笑する場面ではなかったのですが)
あとからじわっと来る描写もいくつかあり、特に直虎と井伊谷の住民のやりとりは心あたたまるシーンが多く。
どの回にも言えるのが、テンポよく進行していたということ。たいくつな回は、ほとんどありませんでした。
とはいえ、やはり残酷な出来事も
・直虎が政次を刺すシーン
・子供の首を虎松のかわりに差し出すシーン
などは、残酷でもありショッキングなシーンもいくつかあり。もちろん生首がテレビに映るというようなことはありませんでしたが、描写の中でそれはそれは悲しくつらい決断を強いられながら、生き延びて来たことが伝わってきました。
森下脚本は「上げて落とす」が特徴らしく。ふわっといい感じで物語が進行すると、突然ドカン!と悲しい出来事が起こる、大変起伏のあるストーリー展開でした。それは、1年間たいくつせずに見続けることができた一因でもあるのですが。
今までの大河で描かれなかった戦国の様子がわかる
・戦国時代の庶民の生活
・井伊谷はたまたま生き残ったが、武田に蹂躙されたこと
・戦をするのは武士だけではない
・木を切りだす人、戦場まで運ぶ人
など、今までの大河であれば、中心になって戦をする人とその周辺ぐらいしか描かれなかったのですが、直虎ではしっかり庶民の生活も書かれていたのが良かった。どの人も、大変な想いはしながらも、生き生きと暮らしている様子が伝わってきました。
色小姓の描写をありがとう
小姓とは、武将の身辺につかえ、諸々の雑用などを請け負う少年のこと。単に身の回りの世話をするだけのこともあれば、話し相手をつとめたり、人によっては武将の衆道(男色)のお相手をしたり。
今までの大河では、単にお世話をする人として描かれていた小姓ですが、直虎では「色小姓(=衆道の相手)」を思わせるシーンが登場します。こまではっきりとかかれたのは、大河では初めてではないでしょうか。
当時、衆道は武士のたしなみとは言われていたものの、家康は好まなかったのは歴史ファンなら周知のこと。しかし、直政だけは唯一の色小姓だったという話が伝わっています。それも、ドラマのように「色小姓ということにしておいた」のであれば、つじつまも合いますよね。ここも脚本の妙というか、いい扱い方だったと思います。
あわや、万千代貞操の危機か!とギリギリのところまで描いて、視聴者をハラハラ・ドキドキ・ウキウキ♪の嵐に巻き込んだのも上手かったですね~。
https://twitter.com/nhk_naotora/status/924942853830307840
↑特におすすめのシーン
視聴率より視聴質?!
去年はじめて知った言葉なのですが「視聴率」ではなく「視聴質」という計測方法があるそうです。直虎は、視聴率は歴代の大河の中では下の方でしたが、視聴質が1位だったというデータが。
「視聴質」1位は直虎?!番組をどれだけ集中して見ているかを測る会社、現る
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaiosamu/20171016-00076981/
4月のデータではありますが、トップ10にNHKとテレ東が多いのが興味深いですね。
確かに、どの番組よりも集中力を使っているのが「直虎」でして、「続く」が出てくると「あれ?もう終わり?」となることが何度もありました。まさに質の高い視聴者であります。
そして今、抜け殻状態に
予想はしていましたが、見終わったあと抜け殻になりました・・・。
ラベンダーサシェ代表の井代さんと一緒に行った龍潭寺。
お庭も建物も素晴らしい。(写真は素材集です)
>> 直虎ゆかりの地・浜松巡りのレポート
2018年の大河はついていけるだろうか?幕末は結構歴史が複雑で、こちらも予習が必要と思われます。初回は見てみたものの、さて、この後どうしよう?