いっとき、SNSで話題になっていた 「勘違いさせる力」を読んでみました。この本には 「錯覚資産」という言葉が繰り返し出てくるのですが、面白いことにこの本も 「錯覚資産」で売れているんだよな、というのが最初の感想です。
そして、この本を読むべきではない人がいるなとも感じたので、書評として残しておきたいと思います。
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ふろむだ氏「勘違いさせる力」の感想
以下、ざっとの感想を箇条書き。
- 何か変な思想に汚染されないか警戒しながら読んだ
- 本編に繰り返し出てくる「錯覚資産」は「ブランディング」と置き換えて読むと理解しやすい
- この本の本質を一読で理解するのは無理。特に生き方が確立していない人が読むと迷走する可能性あり。
- 運が重要なのは、うまく行っている人なら誰でも知っている。特に目新しい説ではない。
- PVとCTRは、マーケッター以外の人は理解できるだろうか?適切なたとえか?
とは言え、この本の中では数少ない具体的な行動例なので、理解ができれば役にたつ
※自分がかつて、自己啓発本を読みまくって迷走してしまった時のことを思い出してしまう内容だった。
各所に心理学が散りばめられていて、面白いのは面白いのですが、どの章もふわっとしていて、具体策はほんの少ししかありません。著者のブログやTwitterのファン層だったらハラオチするのかも知れませんが、似たような知識は他の本にもあるなぁと既視感しかありませんでした。
偏った論調も言い切ってしまうことが、錯覚資産の形成方法なのかも。
「錯覚資産」はブランディングと同義語では?
フリーランスや自営業をやっていると、無意識にあるいは意識的に「錯覚資産」をたくさん使っていることはあるなと。答え合わせ的に読む面白さはあるにはあります。
著者本人は「ブランド」と 「錯覚資産」は違うとインタビューに答えていますが、「ブランド(ブランディング)」の定義が我々と違うだけで、どう考えても界隈で使っている「ブランディング」とほぼ同義語であります。
そして、この本は自分の軸がしっかりできていない人にとっては、あまり読むべきではないとも感じました。そして、この本も「錯覚資産」で売れているというロジックが見えてきたのが、大変興味深かったです。
最後まで読んでようやっと気づいたこと
著者のふろむだ氏は、ブロガーでありTwitterユーザーであり、その界隈では影響力がある人だということ。なので、ふろむだ氏をあらかじめ知っていて「まとめ」として、著書を読む分には楽しめるのではないでしょうか。
さらに言えば、社会に出て5年目ぐらいの人が読むなら、学びもあるかも知れません。特に心理学用語を聞いたことがない人は、いくつかの実証実験結果は興味深いものでしょう。
つまり、ラストまで読んで気づいたのは、私のような年齢と経験のものは、この本の対象者じゃなかったということ。選ぶときに、それに気づかなかったことがまことに残念であります。
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